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ごあいさつ

 森 裕紀もり ひろきと申します。
 「勝手に賢くなるシステムを作りたい」という興味を幼い頃から持ち続け、人間の学習や発達をロボット工学の立場から研究する研究者になりました。
 胎児・新生児シミュレーション、ロボット,ニューラルネットワーク、人間行動計測、パターン認識等の技術を用いて認知発達の謎を解明します。

経歴

大阪大学大学院 工学研究科 知能・機能創成工学専攻 助教
2011年4月着任 現在に至る
所属研究室:創発ロボティクス研究室(浅田研究室)
博士(情報理工学)取得
2011年3月 東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻より
博士論文タイトル:ヒト胎児モデルシミュレーションに基づく触覚を通した自己組織的行動発達構成論
科学技術振興機構 ERATO 浅田共創知能システムプロジェクト
対人共創知能グループ(國吉グループ) 研究員
2009年10月着任 2011年3月退職
東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 博士後期課程
2006年4月入学 2009年9月単位取得退学
所属研究室:知能情報システム研究室(國吉・原田研究室)
豊橋技術科学大学大学院 工学研究科 情報工学専攻 博士前期課程
2004年4月入学 2006年3月修了
所属研究室:システム応用研究室(宇野・福村研究室)
豊橋技術科学大学 工学部 情報工学課程
2002年4月3年次編入学 2004年3月卒業
所属研究室:システム応用研究室(宇野・福村研究室)
岐阜工業高等専門学校 電気工学科
1997年4月入学 2002年3月卒業
サッカー部所属
3年次、4年次に電気工学科有志でNHK高専ロボコンに出場
4年次にはチームリーダーとして準優勝(チーム名:Crazy Climber)
所属研究室:出口研究室

研究テーマと概要

・構成的発達科学に基づく胎児・新生児シミュレーション

Tactile cell distribution of the fetal model A fetal model  人間の知性の起源を胎児に求めて,胎児から新生児にかけての発達を再現するコンピュータシミュレーションを行っています。開発した全身筋骨格モデルは、身体各部位の大きさや質量が胎児の在胎週数や週齢に合わせて決める事ができ、約200本の筋と約1500個の触覚細胞等が配置され、子宮内や床の上の環境で胎児モデルや新生児モデルを物理シミュレーションに基づいて行動させる事ができます。全身筋骨格モデルと神経系モデルが結合されて身体構造と環境が胎児・新生児の運動と感覚により結び付き、神経系の自己組織的な変化にしたがって行動が変化していきます。
Behavior of the fetal model  このモデルにより、明示的な制御を行っていないにもかかわらず、胎児モデルにおいて超音波により観察される胎児行動の一部が現れることや,新生児モデルにおいて寝返りやハイハイのような運動も現れることを確認しました。これは身体形状や触覚細胞分布、筋配置等の身体的な制約条件が行動を導いていることを示唆した結果と考えられ、発達を身体や環境が導いている可能性を示しています。
 現在、早産児に対する療育は理論的根拠の薄いままに試行錯誤的に進められています。このような研究を進めて行く事で、胎児、早産児、新生児を包括する発達原理が明らかになれば、早産児や発達障害への療育研究も体系的に取り組めるようになるのではないかと期待しています。 Behavior of the infant model

・誤差順伝搬則を用いたニューラルネットワークによる運動制御内部モデル学習

AIBO  豊橋技術科学大学 (旧)宇野・福村研究室で提案された誤差順伝搬則(Forward-propagation学習則)を実ロボットAIBOに適用し、キッキング動作の学習制御に成功しました。それまでの学習モデルでは生理学的な妥当性が低い軌道の誤差情報が小脳の出力ニューロンから逆方向に伝搬するという前提がありましたが,この学習モデルでは誤差が小脳モデルの中を順方向に伝搬する事で逆ダイナミクスモデルを学習します。この成果は生体の運動制御における逆モデル学習則が実世界でも動作可能である事を示し、生理学的に妥当なヒトの運動制御学習モデルの構築に近づきました。

・ヒトの視覚や体性感覚を通じた内部モデル学習と軌道計画

Manipulandum with a screen from upward Manipulandum with a screen from downward Manipulandum  手元で物体を操作するような場合、視覚が重要な役割を果たしますが,全身運動を行う場合には全身を視覚で確認しながら運動することは多くの場合できません。また、他人の運動を見て運動を学習する場合と、手取り足取り正しい動きをなぞって学習するのでは、どのような違いがあるでしょうか?
 そこで、運動が提示される感覚モダリティにより運動学習が異なるかどうかを調べるため、「回転粘性力場」と呼ばれる新奇な環境で運動学習をする実験を行いました。新奇な環境は写真のようなマニピュランダムという装置を用いて人工的に作り出しました。回転粘性力場では、腕を動かそうとすると手の速度方向から一定の角度だけ回転した方向から速度に比例した力が手にかかるように設定され、運動が妨害されます。被験者は環境の特性を学習して上手く運動を行う必要があります。
 この実験により、直線的な目標軌道を体性感覚へ教示すると学習ができないのに対して視覚に対して行うと学習可能であること、目標到達点を教示すると体性感覚と視覚で軌道は異なるものの両方の条件で運動目標が達成できることを示しました。また脳内で計画されている目標軌道を推定することができました。
 この結果は、感覚モダリティによる脳の感覚運動変換の違いについて示唆を与えるもので、脳情報処理に関する感覚の違いに関する硬直性と運動生成機構全体に関する柔軟性を示しているともいえます。全身運動を行うスポーツ等への応用につながると期待しています。

・新規開拓中

興味深い研究テーマを常に模索しています。

教育経験

  • 大阪大学 学部教養科目 「物理学実験」分担
  • 大阪大学 工学部 応用理工学科 「機械力学演習」分担
  • 大阪大学 工学部 応用理工学科 「機械力学実験」分担
  • 大阪大学 工学部 応用理工学科 「計算機とプログラミング」
  • Project Based Learning担当
  • 大阪大学 工学部 応用理工学科 「応用プログラミング演習」
  • Open Dynamics Engineによる物理シミュレーションとロボット制御プログラム担当

発表論文等

論文(査読有)

  • 森裕紀, 國吉康夫
  • 「触覚を通して反射的行動を自己組織化する子宮内胎児の神経系発達モデル」
    日本ロボット学会誌, Vol.28, No.8, pp.1014-1024, 2010

  • 國吉康夫, 寒川新司, 塚原祐樹, 鈴木真介, 森裕紀
  • 「人間的身体性に基づく知能の発生原理解明への構成論的アプローチ」
    日本ロボット学会誌, Vol.28, No.4, pp.415-434, 2010

  • Alex Pitti, Hiroki Mori, Shingo Kouzuma and Yasuo Kuniyoshi,
  • "Contingency Perception and Agency Measure in Visuo-Motor Spiking Neural Networks,"
    IEEE Transactions on Autonomous Mental Development, Vol.1, No.1, pp.86-97, 2009

  • Hiroki Mori, Yoshihiro Ohama, Naohiro Fukumura and Yoji Uno,
  • "Learning of Real Robot's Inverse Dynamics by a Forward-Propagation Learning Rule,"
    Electrical Engineering in Japan, Vol. 161, No. 4, 2007

  • 森裕紀, 大濱吉紘, 福村直博, 宇野洋二
  • 「Forward-propagation則による実ロボットの逆ダイナミクス学習」
    電気学会論文誌C, Vol.125-C, No.12, pp.1861-1870, 2005

解説論文(査読有)

  • 國吉康夫,森裕紀
  • 「胎児発達の構成論的研究と発達障害理解」
    人工知能学会誌, Vol.27, No.1, pp.20-27, 2012

  • 國吉康夫,森裕紀
  • 「対人的共創知能研究 胎動から社会性認知基盤に至る発達モデルの構築」
    日本ロボット学会誌, Vol.30, No.1, pp.14-19, 2012

  • 森裕紀,國吉康夫
  • 「胎児・新生児の全身筋骨格・神経系シミュレーションによる認知・運動発達研究」
    心理学評論, Vol.52, No.1, pp.20-34, 2009

コメント

  • 國吉康夫, 森裕紀
  • 「構成的発達論の立場から」
    ベビーサイエンス, Vol.09 ,pp.15-16 , 2010

口頭発表(査読有)

  • Hiroki Mori, Yasuo Kuniyoshi,
  • “Infant's primitive walking reflex from the perspective of learning in the uterus.”
    3rd International Conference on Cognitive Neurodynamics 2011, Niseko, Japan, 2011

  • Yasunori Yamada, Hiroki Mori, Yasuo Kuniyoshi
  • “A Fetus and Infant Developmental Scenario: Self-organization of Goal-directed Behaviors Based on Sensory Constraints,”
    10th International Conference on Epigenetic Robotics (EpiRob 2010), pp.145-152,
    Orenas castle, Glumslov, Sweden, Nov. 5-7, 2010

  • Alex Pitti, Hiroki Mori, Yasunori Yamada, Yasuo Kuniyoshi
  • “A Model of Spatial Development from Parieto-Hippocampal Learning of Body-Place Associations,”
    10th International Conference on Epigenetic Robotics (EpiRob 2010), pp.89-96
    Orenas castle, Glumslov, Sweden, Nov. 5-7, 2010

  • Hiroki Mori and Yasuo Kuniyoshi
  • “A human fetus development simulation: Self-organization of behaviors through tactile sensation,”
    IEEE 9th International Conference on Development and Learning (ICDL 2010), pp.82-97
    University of Michigan, Ann Arbor, USA, Aug. 18-21, 2010

  • Hiroki Mori, Yasuo Kuniyoshi
  • “A cognitive developmental scenario of transitional motor primitives acquisition,”
    7th international Conference on Epigenetic Robotics (EpiRob 2007), pp.93-100,
    Rutgers University, New Jersey, USA, Nov. 5-7, 2007

口頭発表(査読無)

  • 森裕紀, 國吉康夫
  • 「触覚神経系を伴う胎児モデルシミュレーションに現れる行動発達の順序性」
    第28回日本ロボッ ト学会学術講演会(RSJ2011), Sep. 7-9, 2011

  • 森裕紀, 國吉康夫
  • 「新生児の原始歩行を誘発する胎児の子宮内触覚経験による脚間協調運動の自己組織化」
    第28回日本ロボッ ト学会学術講演会(RSJ2010), Sep. 22-14, 2010

  • Yasuo Kuniyoshi, Kaito Kinjo, Hiroki Mori, Shinji Sangawa,
  • "Sensorimotor Development of A Simulated Fetus and Neonate,"
    2009 IEEE International Conference on Robotics and Automation, p.12, 2009

  • 森裕紀,國吉康夫
  • 「胎児の子宮内環境における触覚と反射的行為の自己組織化」
    第27回ロボット学会学術講演会(RSJ2009), 横浜国立大学, Sep. 15-17, 2009

  • 森裕紀, 國吉康夫
  • 「遷移的運動プリミティブ獲得の認知発達的シナリオの提案」
    第25回日本ロボット学会学術講演会,CD-ROM,3N18, 千葉工業大学, Sep. 13-15, 2007

  • 森裕紀, 福村直博, 宇野洋二
  • 「新奇環境下での不完全な内部モデルによる計画軌道の推定」
    第21回生体・生理工学シンポジウム論文集,pp.369-372,
    かごしま県民センター, Nov. 17-19, 2006

  • 森裕紀, 福村直博, 宇野洋二
  • 「新奇環境下における運動制御内部モデルの学習パラメータと計画軌道の推定」
    日本神経回路学会第16回全国大会(JNNS2006)講演論文集,pp.90-91,
    名古屋大学, Sep. 19-21, 2006

  • 森裕紀, 福村直博, 宇野洋二
  • 「体性感覚による運動制御内部モデル学習」
    電子情報通信学会ニューロコンピューティング(NC)研究会, 玉川大学, Mar. 15-16, 2006

  • 森裕紀,福村直博,宇野洋二
  • 「新奇環境下におけるヒト運動制御のモジュール学習に関する研究」
    第20回生体・生理工学シンポジウム, 法政大学, Sep. 5-7, 2005

  • 森裕紀,大濱吉紘,福村直博,宇野洋二
  • 「Forward-propagation則によるAIBOの逆ダイナミックス学習」
    平成16年度 電気関係学会東海支部連合大会, 名古屋工業大学, Sep. 27-28, 2004

ポスター発表(査読無)

  • 森裕紀,國吉康夫
  • 「原始歩行シミュレーション―子宮内経験が導く歩行様運動のための神経回路―」
    日本赤ちゃん学会 第11回学術集会, p-27, 中部学院大学, 岐阜, May 7-8, 2011

  • 山田康智, 森裕紀, 國吉康夫
  • 「感覚の偏りを契機として行為を自己組織化するヒトの初期発達モデル」
    日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2010(ROBOMEC2010),1A1-F12,
    旭川大雪アリーナ, 北海道, Jun. 13-16, 2010

  • 森裕紀, 國吉康夫
  • 「胎児の子宮内運動発達シミュレーション-General Movementsから手と顔の接触行動の自己組織化-」
    日本赤ちゃん学会 第10回学術集会, P-60, p.101, Jun. 12-13, 2010

  • 山田康智, 森裕紀, 國吉康夫
  • 「感覚の制約に基づく自己組織化により目的志向性運動を創発するヒトの初期発達モデル」
    日本赤ちゃん学会 第10回学術集会, P-61, p.102, Jun. 12-13, 2010

  • 森裕紀, 國吉康夫
  • 「胎児から新生児にいたる神経-筋骨格系発達シミュレーション」
    電子情報通信学会 身体性情報学研究会平成21年度第3回シンポジウム Mar. 31, 2010

  • 森裕紀, 國吉康夫
  • 「体と環境のインタラクションを通したSTDPによる体性感覚野の自己組織化」
    ロボティクス・メカトロニクス講演会2008(ROBOMEC2008), 2P1-G08,
    長野(ビッグハット),Jun. 5-7, 2008

  • 森裕紀, 國吉康夫
  • 「リアルな形態を持つ筋骨格赤ちゃんシミュレーターの開発」
    日本赤ちゃん学会 第8回学術集会, 千里ライフサイエンスセンター, 大阪, Apr. 12-13, 2008

  • 森裕紀, 國吉康夫
  • 「赤ちゃん全身筋骨格シミュレーションによる運動プリミティブ獲得シナリオの検討」
    脳と心のメカニズム 夏のワークショップ, 札幌, Aug. 23-24, 2007

  • 森裕紀, 國吉康夫
  • 「ダイナミックな状態変化に基づくヒト運動プリミティブの抽出」
    ロボティクス・メカトロニクス講演会 2007 (ROBOMEC2007),1P1-K10,
    秋田, May. 10-12, 2007

  • 森裕紀,福村直博,宇野洋二
  • 「新奇環境下における運動制御内部モデルの学習パラメータと計画軌道の推定」
    日本神経回路学会第16回全国大会(JNNS2006)講演論文集,p.90-91,
    名古屋大学, Sep. 19-21, 2006

受賞

  • 日本赤ちゃん学会 第11回学術集会 最優秀発表賞(2011年)
  • 「原始歩行シミュレーション―子宮内経験が導く歩行様運動のための神経回路―」

  • 日本ロボット学会2010年度 研究奨励賞
  • 第27回日本ロボット学会学術講演会(2009年)
    「胎児の子宮内環境における触覚と反射的行為の自己組織化」

連絡先

hiroki _at_ ams.eng.osaka-u.ac.jp (_at_ を @ に変えてください)

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